*注射の薬を少し深いところに入れる
開口一番、F先生は穏やかに「まぁ、特に変わったところはなさそうですね」と、こちらの答えを読み取ったかのように仰り(鋭い!)今日はちょっと薬を深く刺すことを心がけてみます、と仰いました。
「深いから痛いというわけではないですけどね、・・頑張って」と何気なく気遣って下さっていました。私は相変わらず何の心配もしておらず、すっかりお任せ状態です。
注射の感触は、確かにいつもより深く入っているなという感じはしました。
それでも、右は全く痛みなく、左はわずかに痛みを感じる程度。初回のそれと全く変わりがありません。
*単なる技術だけではない注射
耳鳴りをブロック注射で治療しようというとき、注射のリスクが高かったり、痛かったりしたら、おそらく誰もそこまでしてやろうとは思わないでしょう。ですから、F先生は極限までリスクを減らす研究をされ、痛みのない注射の技術を磨かれ、実際そのおかげで私はなんの不安もなく毎回ブロック注射をしていただいています。具合の悪いことは一度も起こっていません。
この日珍しくF先生が注射のことについて語られました。
つまり、このブロック注射は、患者さんの痛みも感じながらやらないといけない注射なのだとか。単に技術だけではないと・・・考えさせられる奥の深い話です。技術だけが独り歩きすると危険なのでしょう。
いつも真剣勝負の先生の注射は、ただうまくやるという以上のものがあるからこそ、患者は安心して任せられるのだと思います。
*やっと来た!そしてサプライズ!
この日の帰り、ついにはっきりと変化を体験できました!
診療所を出てからまもなく、音がすぐにいつも以上に高く、細く、そして小さくなったのです。
小さくなったとはっきり自覚できたのは初めてです。
やった!という感じでした。
3時間程度ではありましたが、ここまできて実感できたことで、やっと一歩進めたような気がしました。
そしてなんと!私の耳奥で居座っている耳鳴りの塊が半分くらいに小さくなっていたのです!
顎を動かしたときにはっきりとわかりました。
こちらも残念ながら2~3時間のことでしたが、本当に信じられない驚きでした。
12年間一度たりとも小さくなったことのない音の塊です。変わることはないだろうとあきらめていたのですから、まさしくサプライズでした。
とにかく初めてすぐに反応があったことに素直に嬉しさがこみあげてきました。
この先のことはわからないけれど、可能性はまだあるかもしれないと、少し力強い気持ちが湧いてきました。